2013 年 33 巻 5 号 p. 703-708
慢性痛には心理社会的因子が深く関与している.しかし,患者の心理的因子を評価するのは容易ではない.そこで,われわれは外来で施行可能な問診票BS-POP(Brief Scale for Psychiatric Problems in Orthopaedic Patients)(整形外科患者に対する精神医学的問題評価のための質問票)を作成した.BS-POPはすでに信頼性,構成概念妥当性,基準関連妥当性,再現性,および反応性が計量心理学的に検証されている.心理社会的因子を評価せずに手術等の侵襲的な治療を行うと,症状は回復せずにむしろ悪化することが少なくない.リエゾン治療の必要な慢性痛を呈する症例では,心理社会的側面の洞察と同時に,症例によっては脳機能を評価した上で治療を行う多面的アプローチが重要である.