日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
早期治療により子宮温存に成功するも2日後に肺水腫をきたした子宮型羊水塞栓症症例の麻酔経験
山岸 頌子入駒 慎吾小久保 荘太郎
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2014 年 34 巻 1 号 p. 086-089

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抄録

  羊水塞栓症には心肺虚脱を主体とするタイプと弛緩出血・DICから発症するタイプの2つがある.今回,後者を早期治療し,それに付随する病態を経験したので報告する.症例は42歳の初産婦で妊娠40週,妊娠高血圧症候群増悪の診断にて脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔下に緊急帝王切開術となった.弛緩出血傾向のため羊水塞栓症を強く疑い,採血結果を待たずに全身麻酔下に輸血療法および抗DIC・ショック療法を開始した.子宮は温存し,抜管の後,産科ICUに帰室した.術後2日目に肺水腫をきたし集中治療を開始した.術後17日目に軽快退院となった.羊水塞栓症では,早期治療後に起こる可能性のあるサイトカインストームにも注意が必要であると考えられた.

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© 2014 日本臨床麻酔学会
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