2014 年 34 巻 4 号 p. 539-548
フィブリノゲンから生成されたフィブリン重合による強い血餅は二次止血の要であり,抗プラスミン剤の有効性は血餅を線溶現象から守る重要性を示唆している.大量出血時のフィブリノゲン補充療法が注目され,フィブリノゲンの目標値が上昇している背景にはフィブリン重合を測定するトロンボエラストメトリー(ROTEM®)の開発と普及がある.人工心肺を使う心臓血管手術はフィブリノゲン補充療法を考える上で重要な病態であり,危機的出血や外傷の参考となる.今までの止血療法を踏まえつつ,フィブリノゲン濃度とフィブリン重合の複合評価のフジサン分類に基づいたフィブリノゲン補充療法による効果的止血への取組みについて考察し,今後の展望に言及する.