2014 年 34 巻 5 号 p. 700-704
Enhanced Recovery After Surgery(ERAS)は,全国的に普及が進んで大きな成果を生む一方,誤解からの有害事象もあり得ることから,日本外科代謝栄養学会では,ESSENSEプロジェクトを立ち上げた.術後在院日数短縮だけに固執することなく,患者自身が早期に自立して健常な生活に戻れることを促すにはどうしたら良いのか,1.侵襲反応軽減,2.身体活動性の早期自立,3.栄養摂取の早期自立,4.不安軽減と回復意欲の励起,を目標状態4項目として提案している.日本版ERASでは,外科医と麻酔科医が協力しながら,生体侵襲反応の軽減を図ることは回復促進の根幹をなすため,改めて両者の協力体制を進化させることが患者回復促進への大きな前進につながると確信している.