2014 年 34 巻 5 号 p. 731-737
漢方医学(漢方方剤内服治療,鍼灸治療,推拿)の大きな利点は,現代医学だけでは対処できない症状(全身倦怠感,食欲不振など)に対する効果が高いことである.漢方医学は全人的医療であり,診察による治療効果もあると考えられ,緩和ケアとの親和性が高い.特に日本の漢方方剤による治療は,健康保険で薬剤投与を受けられ,品質・安全性が管理されており,がんの治療と並行して行うことが容易である.服薬が困難になった場合には,鍼灸治療が有用である.近年,緩和ケアにおける鍼灸治療の臨床研究は多くなされ,われわれも接触鍼法がCIPNの補助療法として有効であることを示したが,エビデンスとして確立するためには質の高い無作為比較試験が望まれる.