人工膝関節手術の施行症例数は,わが国においても年々増加の傾向にある.術後鎮痛法としての末梢神経ブロックの有用性については多くの報告があるが,人工膝関節手術には全置換術と単顆型置換術の違い以外にもアプローチ法によって皮膚や筋膜の切開創の違いがあり,最良なブロックの種類や組み合わせは必ずしも一つではない.さらに,リハビリテーションの実施計画によっても術後鎮痛に求められる条件は異なる.持続大腿神経ブロックは良好な鎮痛の反面,大腿四頭筋の筋力低下が問題となりうる.近年,内転筋管ブロックや局所浸潤鎮痛の有用性も報告されており,施設ごとの手術に適したオーダーメイドの術後鎮痛メニューの構築が重要である.