日本臨床麻酔学会誌
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〔日本臨床モニター学会〕第25回日本臨床モニター学会 教育講演
臨床研究に必要な「研究デザイン」と「統計学」
成松 宏人
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2015 年 35 巻 1 号 p. 146-151

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抄録

  世界に発信できる臨床研究数は日本においては欧米先進諸国に比べ少なく,残念ながら,日本は臨床研究後進国であることがしばしば指摘されている.臨床研究の目的の一つは基礎研究の成果を臨床的実用化に結びつけることである.よって,臨床研究の停滞は,日本での研究成果であるにもかかわらず,実用化の恩恵を日本国民が受けるのが遅れるという結果にもつながることが危惧されている.よって,臨床研究の活性化は医学のみならず社会的にも重要な課題となっている.臨床研究をその中心として担うのは現場の医療者である.しかし,医学教育にて臨床研究を遂行するための能力を身につけるためのトレーニングの機会は圧倒的に不足しているのが現状である.そこで,本稿では臨床研究を進めるために必要なエッセンスである(1)研究デザインの知識,(2)臨床試験で必要な研究倫理の知識,(3)臨床研究に必要な統計について紹介・解説した.臨床研究を行うための基礎的素養を備えた臨床医が増えることで,今後の現場の臨床医による臨床研究の活性化を期待している.

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© 2015 日本臨床麻酔学会
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