日本臨床麻酔学会誌
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手術終了時の筋弛緩薬拮抗:ネオスチグミンで完全回復できるか?
村松 隆宏磯野 史朗
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2015 年 35 巻 2 号 p. 257-265

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抄録

術後残存筋弛緩は,術後呼吸器合併症や低酸素血症のリスクとなるため,ネオスチグミンやスガマデクスなどの筋弛緩拮抗薬投与が推奨されている.従来より使用されてきたネオスチグミンは,非脱分極性筋弛緩薬を積極的には排泄せず,天井効果もあることから深い筋弛緩状態からの回復は困難である.深い筋弛緩状態であっても自発呼吸は出現するので自発呼吸を目安としたネオスチグミン投与は,残存筋弛緩や再筋弛緩の原因となり得る.また,ネオスチグミンはそれ自体が筋弛緩作用を持つことも知られ,ネオスチグミン過量投与と術後呼吸器合併症との関連性も示唆されている.ネオスチグミンを用いて確実に筋弛緩から回復させるのは薬理学的に困難である.

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© 2015 日本臨床麻酔学会
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