2015 年 35 巻 5 号 p. 607-610
症例は37歳女性.巨大腹部腫瘍に対して腫瘍摘出術が予定された.子宮筋腫の可能性が高く大量出血および巨大腫瘍摘出に伴うさまざまな合併症が危惧されたが,腫瘍は大きなトラブルなく摘出することができた.術後鎮痛は早期の抗凝固療法を考慮し持続創部浸潤麻酔とフェンタニル持続静注で行った.退室時疼痛の訴えはなく,術後の疼痛管理はおおむね良好であった.硬膜外麻酔困難症例に対し0.2%ロピバカインの持続創部浸潤麻酔とフェンタニル持続静注を併用することにより有用な術後疼痛管理を提供できる可能性が示唆された.