心臓大血管手術における脳灌流の維持と脳障害・脳機能障害を防ぐために近赤外分光法による局所脳酸素飽和度(rSO2)モニタが頻用される.rSO2の急激な変化や左右差の出現は術中の脳灌流障害や低酸素を検出している可能性があり,原因の検索や対応を検討する上でも有用である.高次脳機能障害とrSO2の低下との関連を示す報告は増えているがその解釈には注意を要する.現時点では塞栓性の脳梗塞の発症の検出とその予防にrSO2値が有益であったとする報告は限られる.後方脳循環を含めた多チャンネルでの検討や術後も継続してモニタすることによりその有益性が増す可能性はある.