2016 年 36 巻 1 号 p. 72-78
メタアナリシスは,臨床上の疑問に答える有力な手段としてすでに確立された研究手法であるが,従来の手法では2種類の治療法を直接比較することしかできず,その多くは介入群vs.対照群であった.3種類以上の治療法の結果を統合する方法は,multiple treatment comparisonあるいはネットワーク・メタアナリシスなどと呼ばれ,ベイズ・モデルを用いることで可能となる.この方法は,過去に直接比較試験を実施していない治療法の比較(間接比較indirect comparison)や,どの治療法が最も優れているか(治療法の順位付けrank of probabilities)を可能にする点において,特に強みがある.