日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
保存的に管理した術後下腿コンパートメント症候群の1例
小西 康貴長谷 洋和出口 亮髙田 真二宇野 幸彦澤村 成史
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2016 年 36 巻 3 号 p. 280-285

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抄録

52歳肥満患者の直腸癌に対し頭低位砕石位にて腹腔鏡下低位前方切除術が施行された.術直後から左下腿背側の疼痛および腫脹が出現し,翌朝には血清CPKが14,028 IU/Lと上昇した.急性下腿コンパートメント症候群を疑い,筋内圧を測定すると43mmHgと高値ではあったが,症状と組織灌流圧から判断し筋膜切開は施行せず保存的に管理した.術後10日目に症状改善し,歩行リハビリテーションを開始すると疼痛および腫脹に加え,一過性の知覚障害が出現したが,術後45日目には改善し,退院となった.下腿コンパートメント症候群の保存的管理では,急性期だけでなく回復期まで,筋膜切開を考慮した注意深い経過観察が重要である.

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© 2016 日本臨床麻酔学会
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