2016 年 36 巻 4 号 p. 399-403
当院で施行された腹臥位完全胸腔鏡下食道切除術15例(P群)と左側臥位胸腔鏡補助下小開胸食道切除術10例(L群)について後ろ向きに比較した.P群およびL群における分離肺換気中のPaO2/FIO2はそれぞれ220.2±82.8,192.7±111Torr(平均値±標準偏差)で有意差を認めず,むしろP群で良好な傾向を示した.一方,手術終了から気管チューブ抜管までの時間は,P群において有意に短縮していた(P<0.01).腹臥位による鏡視下食道癌手術では,危惧されていた酸素化能の低下は認められず,人工呼吸器からの早期離脱が可能であった.