日本臨床麻酔学会誌
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36 巻 , 4 号
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原著論文
  • 宇佐美 潤, 廣田 弘毅, 堀川 英世, 竹村 佳記, 山田 正名, 山崎 光章
    2016 年 36 巻 4 号 p. 399-403
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    当院で施行された腹臥位完全胸腔鏡下食道切除術15例(P群)と左側臥位胸腔鏡補助下小開胸食道切除術10例(L群)について後ろ向きに比較した.P群およびL群における分離肺換気中のPaO2/FIO2はそれぞれ220.2±82.8,192.7±111Torr(平均値±標準偏差)で有意差を認めず,むしろP群で良好な傾向を示した.一方,手術終了から気管チューブ抜管までの時間は,P群において有意に短縮していた(P<0.01).腹臥位による鏡視下食道癌手術では,危惧されていた酸素化能の低下は認められず,人工呼吸器からの早期離脱が可能であった.

  • 岡本 さくら, 宗宮 奈美恵, 坂 英雄, 富田 彰
    2016 年 36 巻 4 号 p. 404-411
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    【背景】気管・気管支ステント留置術は,ステントを気道の狭窄部位に挿入する手技である.最適な麻酔方法についてはさまざまな意見があり,いまだ確立したものはない.今回われわれは,気管ステント留置術を施行された患者を後ろ向きに調査し,自発呼吸群(SP群)と筋弛緩薬を使用した調節呼吸群(MR群)において,低酸素イベント(SpO2<95%)の発生割合,術中の平均P/F値,pH,PaCO2を評価した.【対象と方法】当施設において2013年7月から2013年11月の期間で,気管ステント留置術を施行された患者のうち,SP群10症例,MR群10症例を評価した.麻酔方法はプロポフォールTCI,レミフェンタニルによるTIVAで行った.SP群は自発呼吸を温存し,MR群は筋弛緩薬投与後に硬性鏡を挿入し,調節呼吸を行った.【結果】低酸素イベントの発生割合は,SP群で5例(発生割合50%,95%CI 23%~76%),MR群で0例(発生割合0%,95%CI 0%~28%)であった.SP群はMR群に比べ,術中の平均pHが低く(7.26±0.05 vs 7.40±0.07,P<0.001),平均PaCO2が高く(63.5±12.3 vs 40.6±8.58,P<0.001),平均P/F値が低かった(206.5±47.1 vs 387.2±68.1,P<0.001).【結論】気管ステント留置術における調節呼吸(筋弛緩薬あり)は,低酸素イベントの発生割合を低下させ,呼吸状態を良好に保った.

症例報告
  • 興梠 雅代, 上村 聡子, 高松 千洋, 坂口 嘉郎
    2016 年 36 巻 4 号 p. 412-415
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    脳室腹腔シャント(ventriculoperitoneal shunt:VPS)を有する患者に対し,これまでに報告されているチューブの外瘻化や一時的な抜去などの処置を行わずに腹腔鏡下手術を行った症例を経験した.VPS留置患者への腹腔鏡下手術ではチューブの損傷や逆行性感染,頭蓋内圧上昇などをきたす可能性が懸念されるが,体位を頭低位とする場合の角度および気腹圧をできるだけ小さくすること,VPSチューブ先端を術操作範囲外に配置すること,間接的な脳圧モニタリングとして視神経鞘径(optic nerve sheath diameter:ONSD)を計測し,脳圧亢進の有無を確認することで安全に手術を施行しえた.

  • 片山 望, 今町 憲貴, 蓼沼 佐岐, 齊藤 洋司
    2016 年 36 巻 4 号 p. 416-419
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    手術中の持続勃起はまれであるが,今回脊髄くも膜下麻酔後に反射性勃起をきたし,アトロピン投与で改善した症例を経験した.60歳代の男性,膀胱癌に対し経尿道的膀胱腫瘍切除術が予定され,L3/4より等比重ブピバカインを用いて脊髄くも膜下麻酔を施行した.尿道膀胱鏡挿入中に持続勃起状態となり,尿道膀胱鏡の操作が困難なため手術中断となった.アトロピンの投与で勃起は速やかに改善し手術が可能となった.原因として尿道膀胱鏡による陰茎刺激により反射性勃起が生じたと考えられた.勃起の機序は不明な点が多いが,本症例ではアトロピンによる副交感神経である骨盤神経を介する経路が抑制され,勃起を緩和したと考えられる.

  • 中山 知沙香, 坂本 三樹, 荒尾 沙理, 永田 美和, 舘田 武志
    2016 年 36 巻 4 号 p. 420-424
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    症例は36歳の初産婦.間質性肺炎に軽度の肺高血圧症を合併していた.SpO2の低下を認めたため妊娠21週時より在宅酸素療法を導入し,妊娠32週6日に脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔(combined spinal-epidural anesthesia:CSEA)で予定帝王切開とした.L2/3より硬膜外カテーテルを挿入し,L3/4より脊髄くも膜下腔に0.5%高比重ブピバカイン0.6mLとフェンタニル10μgを投与した.硬膜外カテーテルより適宜局所麻酔薬を追加し(sequential CSEA)手術を施行した.術前・術後ともに麻酔高はTh6以下であった.脊髄くも膜下麻酔で麻酔高が高位に及ぶと,低酸素血症と肺高血圧が増悪する可能性がある.本症例では,sequential CSEAで行うことで予期せぬ麻酔高の上昇を抑え,安定した循環動態で管理することができた.

短報
  • 日名 太一, 渕上 竜也, 真玉橋 由衣子, 照屋 孝二, 垣花 学
    2016 年 36 巻 4 号 p. 425-428
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    INTELLiVENT®-ASV(以下,iASV)はクローズドループ機構により厳密な動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)管理が期待できるが,開頭術後の人工呼吸でのiASVの有効性を示す報告はない.今回,脳幹部腫瘍摘出術術後にiASVを用いた人工呼吸を行い,厳密なPaCO2管理を行うことができた.34歳の男性.大孔部髄膜腫に対して開頭腫瘍摘出術が予定され,延髄尾側から第1頚髄の髄内まで腫瘍を摘出した.術当日は人工呼吸管理を継続した.高二酸化炭素血症を回避するためにiASVモードを選択し,自動的な目標分時換気量の変更を行った.経過中の呼気終末二酸化炭素分圧(EtCO2)とPaCO2は,おおむね36〜38Torrで安定していた.この機能により,脳外科術後人工呼吸中の厳密な換気調整を簡便に行うことができた.

  • 中村 蓉子, 福井 健一, 塩田 修玄, 原茂 明弘, 足立 裕史, 中沢 弘一
    2016 年 36 巻 4 号 p. 429-433
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    化学療法施行中に,突然の高ナトリウム血症,高血糖を生じ,昏睡状態となった78歳の男性の症例を経験した.血清ナトリウム値,血糖値が正常化した後も人工呼吸を必要とする昏睡状態が続き,保存的な加療を続けていたが,2カ月後に急速に意識レベルが改善した.MRI検査で橋中心髄鞘崩壊症の最終診断に至り,急変から114日後に転院となった.当初,本疾患は慢性的な低ナトリウム血症の急速な補正により生じるとされていたが,近年は急激な浸透圧変化が病因の主体である可能性が示唆されている.回復例も多く報告されており,積極的な早期診断が必要と考えられた.

日本臨床麻酔学会第35回大会 招待講演
  • 土井 大輔, 高橋 淳
    2016 年 36 巻 4 号 p. 434-440
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    パーキンソン病に対して,ヒトiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いた細胞移植治療の臨床試験を計画している.iPS細胞由来の移植片の安全性と有効性を検討する目的で,少数例の患者を対象に,頭部MRIおよびPET検査,スコアによる神経症状の評価を行う予定である.臨床試験では,専用の細胞調製施設で作製された医療用iPS細胞ストックを用いる.種々の低分子化合物やサイトカインを加えた培地でiPS細胞を分化誘導し,セルソーティングの手法によりドパミン神経前駆細胞を濃縮し,さらに浮遊培養した細胞塊を定位脳手術により投与する.本稿では,パーキンソン病に対する細胞移植治療の開発経緯と今後の展望について述べる.

日本臨床麻酔学会第35回大会 教育講演
  • 小板橋 俊哉
    2016 年 36 巻 4 号 p. 441-447
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    プロポフォールが本邦で使用されるようになってから20年近くが経過している.本稿では,プロポフォール麻酔の基本について概説する.プロポフォールの効果部位濃度と血中濃度の違いや薬物動態学,薬力学についての基本的知識は必要である.また,薬物動態学的多様性と薬力学的多様性も考慮しなければならない.特に,年齢による変化や肥満患者への対応は実臨床において必須の知識である.一方,TCIポンプに表示される濃度はあくまで予測濃度であり,絶対値にこだわらないことも重要である.プロポフォールの効果を判定する際に,濃度を補完するツールとしてBISモニタなどの脳波モニタは有用である.

デスフルランの上手な使い方(第2回)
  • 上山 博史
    2016 年 36 巻 4 号 p. 450-455
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    BISモニターに代表される麻酔用脳波モニターは,臨床濃度では麻酔による脳波の高振幅徐波化の程度を数値化することにより鎮静度を示す.この脳波変化は,麻酔薬の種類や加齢の影響を受けるため,プログラムされた変化パターンを示さない麻酔薬や年齢層では,BIS値の信頼性が下がるだけでなく,濃度依存性の変化も失われる.デスフルランはセボフルランと比べて振幅変化,特にアルファ波の振幅増高作用が小さいため,BIS値は低めに算出され,かつ40歳以上では濃度依存性にBIS値が変化しにくい.そのため,BIS値が低い場合でも4%以上の投与を推奨する.デスフルランの誘発電位に与える影響は,他の揮発性麻酔薬と同様に振幅を抑制する.

  • 中山 英人, 西澤 秀哉
    2016 年 36 巻 4 号 p. 456-459
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    デスフルランは,脳血管に作用し用量依存性に脳血流を増加させ頭蓋内圧に影響を与える.神経保護作用により脳虚血や術後せん妄,高次脳機能障害を改善する可能性がある.術中の電気生理学的モニタリングにおいて,用量依存性に誘発電位を抑制するが,臨床使用濃度下でMEPのモニタは可能である.

  • 森 信一郎, 恒吉 勇男
    2016 年 36 巻 4 号 p. 460-463
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    デスフルランの眼内圧,喉頭筋群への影響を考察し,頭頚部外科手術,眼科手術での有効性を検討した.デスフルランは交感神経刺激作用を持つものの,眼内圧はほかの麻酔薬と比べて有意差は認められなかった.一方で最近の腹腔鏡手術で見られる頭低位では,全静脈麻酔(プロポフォール)と比べるとデスフルランを用いた全身麻酔では眼内圧が高くなる.デスフルランは,肥満患者を含めて麻酔覚醒が迅速である.麻酔薬感受性の高い喉頭筋群の回復も迅速であることから,睡眠時無呼吸患者のような術後の気道閉塞の危険のある患者には適した麻酔薬である.しかし気道刺激性があるために,声帯上気道確保器具の使用には注意を要する.

  • 川西 良典, 堤 保夫, 田中 克哉
    2016 年 36 巻 4 号 p. 464-467
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    呼吸器外科手術,特に一側肺換気を必要とする肺切除術では,HPV抑制作用を持たない静脈麻酔薬が,吸入麻酔薬と比較して,術中の酸素化維持に有利とされている.ただ,デスフルランを含む吸入麻酔薬には,一側肺換気を受けた肺の抗炎症作用を認める報告が散見され,一側肺換気を必要とする呼吸器外科手術においてデスフルランの使用がより有用となる可能性が示されている.次に,重症筋無力症患者の麻酔では,麻酔終了後の残存筋弛緩の軽減が必須である.一般に吸入麻酔薬にはそれ単独で濃度依存性の筋弛緩作用を有することが知られているが,デスフルランは体内からの急速な排せつが期待できるため筋弛緩作用の残存も軽減できると考えられる.術中においては濃度依存性の筋弛緩作用により体動の抑制や術野確保などに有利である可能性を持つものの,重症筋無力症患者での使用にあたっては厳重なモニタリングが必須である.

  • 坂本 成司
    2016 年 36 巻 4 号 p. 468-471
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    腹部手術は手術侵襲が大きく,術後痛も強いため呼吸機能への影響が大きい.腹腔鏡下手術は長時間手術となることも多く,速やかな麻酔からの回復が望まれる.このため,デスフルランは覚醒が速やかという点において腹部手術に適した麻酔薬である.ただし,プロポフォールに比べると悪心・嘔吐の頻度が高いことや,頭低位の手術では気道内圧上昇,脳圧や眼圧の上昇などには注意が必要である.

  • 松田 光正
    2016 年 36 巻 4 号 p. 472-475
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    近年,医療技術の革新的進歩により低侵襲手術が増え,従来入院を必要としていた手術を日帰りで行うことが可能になってきている.また,多くの急性期病院では診断群分類(Diagnosis Procedure Combination:DPC)方式を導入している.この制度では病院経営上,手術件数の増加が求められる.全身麻酔薬の進歩も著しく,2011年にデスフルランが使用可能となった.この変遷は実際に全身麻酔患者の覚醒時間と,PACU滞在時間の短縮をもたらした.このことは術後患者における全身状態の回復の早さを意味し,以前より日帰り手術を可能にする割合が増えるだけでなく,手術室の安全対策や効率化に寄与しているといえる.

  • 馬場 千晶, 行正 翔, 小暮 泰大, 糟谷 周吾, 田村 高子, 鈴木 康之
    2016 年 36 巻 4 号 p. 476-478
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    デスフルランは気道刺激性,刺激臭があることから,マスク導入を多く用いる小児麻酔では選択されにくい.しかし低い生体内代謝率や血液/ガス分配係数など,臓器への影響,覚醒の早さ,抜管までの時間など他の吸入麻酔薬と比較し有利な特性も持つ.当院では小児肝移植術の麻酔管理にセボフルランに加えデスフルランを導入した.当院におけるデスフルランでの小児肝移植術の麻酔管理を簡易に述べるとともに,セボフルランとデスフルランで管理した2群を対象に後方視的に周術期の血液検査,バイタルサイン,挿管日数,ICU滞在日数など比較検討した結果を提示した.これらより,デスフルランの新たな小児への使用の可能性を検討した.

  • 矢野 武志, 恒吉 勇男
    2016 年 36 巻 4 号 p. 479-483
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    本稿では,高齢者に対するデスフルランの長所と短所に着目し,効果的な使用方法を検討した.高齢者を対象とした多くの研究結果から,デスフルランの最大の長所は覚醒が早いことであり,覚醒遅延が危惧される高齢者手術において,有用であると考えられた.また,認知症に対する影響が軽微である可能性や気道反射回復による誤嚥回避の可能性も長所として示唆された.一方,早期覚醒によって出現する心血管反応や術後疼痛が高まる点に関しては短所であると考えられた.高齢者においては,これらの長所と短所は諸刃の剣となり,重篤な状態に陥る可能性もあることから,確実な術後鎮痛を計画するなど,デスフルランの特徴を十分に理解した対応が必要である.

  • 上山 博史
    2016 年 36 巻 4 号 p. 484-487
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    帝王切開術において,デスフルランを用いる最大の利点は,①血液/ガス分配係数が0.45とセボフルランの0.65より低く肺胞濃度の上昇が速やかなこと,②肺胞から効果部位への移行を示すKe0(移行速度係数)が0.3とセボフルランの0.2に比べて高いため効果部位濃度の上昇がセボフルランより速く,導入直後でも速やかに鎮静効果が得られる点にある.脳波から見た揮発性麻酔薬の鎮静作用は妊娠によって変化しないため,麻酔の維持には最低でも4%の投与が必要である.臨床濃度における子宮収縮抑制作用はセボフルランとデスフルランに差はない.非産科手術における催奇形性についても,セボフルランと同様に考えてよい.

  • 安田 信彦
    2016 年 36 巻 4 号 p. 488-490
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    デスフルランは,従来の揮発性麻酔薬と異なり,生体内でほとんど代謝されない.そして,代謝産物による肝・腎への悪影響の心配はほとんどなく,薬物代謝に伴う肝細胞への負担も極めて小さい.これらの点で,静脈麻酔薬も含めて,デスフルランが麻酔薬のなかでは,肝・腎障害を有する患者に対して安全な麻酔薬と考えられる.実際に,デスフルランによる術後肝・腎障害の報告は多くなく,重症なものはまれである.また,臓器への血流を遮断する際に,他の揮発性麻酔薬と同様に,低酸素に対する臓器保護作用の存在も示唆されている.ただし,他の揮発性麻酔薬と同様に,デスフルランの循環抑制作用に伴う肝・腎の血流低下には配慮する必要がある.

  • 堤 保夫, 川西 良典, 田中 克哉
    2016 年 36 巻 4 号 p. 491-493
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,気道の慢性炎症性障害による疾患である.一般に,現在使用されている吸入麻酔薬は,気管拡張作用があると考えられているが,実験モデルや吸入麻酔薬の種類によってその効果は異なる.デスフルランには気道刺激作用があり,また臨床研究においては,高濃度使用時や喫煙者に対して使用した場合に,気道抵抗性を増加させたといった報告が散見される.そのためデスフルランは迅速な覚醒が得られ,術後呼吸器系合併症を軽減する可能性があるものの,気道過敏性の高い患者での使用には注意が必要と思われる.

  • 坂本 成司
    2016 年 36 巻 4 号 p. 494-496
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2016/09/10
    ジャーナル フリー

    肥満患者は脂肪組織が多く,脂肪組織への麻酔薬の蓄積が覚醒遅延につながるおそれがある.デスフルランは肥満患者においても速やかな覚醒が得られ,同じ吸入麻酔薬であるセボフルランと比較しても覚醒が早い.デスフルランは肥満患者でも覚醒遅延の心配なく使用できる吸入麻酔薬である.

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