日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
在宅酸素療法中患者に対する帝王切開術の麻酔経験
中山 知沙香坂本 三樹荒尾 沙理永田 美和舘田 武志
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2016 年 36 巻 4 号 p. 420-424

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抄録

症例は36歳の初産婦.間質性肺炎に軽度の肺高血圧症を合併していた.SpO2の低下を認めたため妊娠21週時より在宅酸素療法を導入し,妊娠32週6日に脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔(combined spinal-epidural anesthesia:CSEA)で予定帝王切開とした.L2/3より硬膜外カテーテルを挿入し,L3/4より脊髄くも膜下腔に0.5%高比重ブピバカイン0.6mLとフェンタニル10μgを投与した.硬膜外カテーテルより適宜局所麻酔薬を追加し(sequential CSEA)手術を施行した.術前・術後ともに麻酔高はTh6以下であった.脊髄くも膜下麻酔で麻酔高が高位に及ぶと,低酸素血症と肺高血圧が増悪する可能性がある.本症例では,sequential CSEAで行うことで予期せぬ麻酔高の上昇を抑え,安定した循環動態で管理することができた.

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© 2016 日本臨床麻酔学会
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