2017 年 37 巻 1 号 p. 76-80
「WHO安全な手術のためのガイドライン2009」により,チェックリストの重要性が認識され,各施設に合うように少しずつ改変を加えながら多くの病院で採用されるに至った.チェックリストの導入は,チーム全体で見過ごされやすい些細な問題の認識,複雑なプロセスにおいて最低限期待されている手順の明確化,何よりもチームワークが高まることによる基本的な成果基準の高度化などに役立つことが明らかになっている.一方,チェックリストを導入しても,チェックリストの運用等に問題があるためにチェックリストそのものが形骸化する可能性があり,麻酔・手術に伴うインシデントはゼロにすることはできない.