脊髄小脳変性症(spino-cerebellar degeneration:SCD)患者は声帯運動障害による睡眠時無呼吸を合併することが知られ,全身麻酔後に出現・増悪する可能性があり注意が必要である.今回われわれはSCD患者の全身麻酔症例において,周術期の気道管理を安全に行うことができた2症例を経験した.SCDの病型を把握した術前評価や,術前および抜管後のファイバースコープによる声帯運動を含めた上気道観察は,術後早期の睡眠時無呼吸のリスク評価に有用であった.また術後,遅発性に睡眠時無呼吸が出現する可能性を考慮し,集中治療室(ICU)での継続的な観察が安全な術後管理のために必要であると考えられた.