がん疼痛はさまざまな要因から発生し,中でも神経障害性疼痛の要素を含むとオピオイドのみでは十分コントロールできない場合が多い.このような痛みに対して抗けいれん薬,抗うつ薬,NMDA受容体拮抗薬など多くの薬物が鎮痛補助薬として現在臨床使用されているが,がん疼痛に対するその使用法や適正投与量について確立されたエビデンスはない.痛みの原因・発生機序を個々の症例ごとに推察し,それに合った薬理作用を持つ鎮痛補助薬を選択すべきである.また,安全にかつ最大の効果を得るためには,各薬物の副作用および薬物相互作用に留意し,投与後にも絶えず再評価して投与量を調整することが重要である.