2017 年 37 巻 4 号 p. 433-438
膀胱自然破裂および術前高K血症・代謝性アシドーシス,腎機能障害をきたし,周術期管理,膀胱修復・ドレナージ手術により軽快した症例を経験した.症例は66歳男性で,膀胱破裂に対し緊急開腹術が予定された.術前検査で高K血症・代謝性アシドーシス,腎機能障害を認めた.8.4%炭酸水素ナトリウム投与,グルコース・インスリン療法により術直前に高K血症を改善し,術中K値の大きな変動はなく手術終了となった.高K血症の原因として,腹腔内へ漏出した尿が腹膜を介して再吸収された逆腹膜透析の状態にあった可能性が高いと考えられた.膀胱破裂では高K血症による致死的不整脈を念頭に置いた周術期管理が必要である.