日本臨床麻酔学会誌
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特集:産科麻酔(第1回)
健常妊婦の帝王切開の麻酔管理
仲宗根 正人稲垣 喜三
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2018 年 38 巻 4 号 p. 562-565

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抄録

わが国では,妊婦のおよそ5人に1人が帝王切開により出産している.健常妊婦の帝王切開の麻酔法は,日本では脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔(CSEA)を選択する施設が多い.しかし,術後抗凝固療法を行う症例が増え,脊髄くも膜下麻酔単独を第一選択とする施設は増えると予測される.脊髄くも膜下麻酔ではモルヒネによる術後遷延性呼吸抑制に注意が必要である.また,高頻度で術後にかゆみを訴えるため,それに対する配慮が求められる.NICEによる緊急度分類カテゴリー1の超緊急帝王切開では,手術決定から児娩出まで,30分以内よりもさらに短時間での娩出が推奨されている.妊婦の全身麻酔は挿管困難や誤嚥性肺炎など致命的なリスクが高くなるため,気道管理は特に注意が必要である.

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© 2018 日本臨床麻酔学会
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