日本臨床麻酔学会誌
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酸素運搬能を維持するために─産科危機的出血への対応─
田中 克明
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2018 年 38 巻 7 号 p. 836-842

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抄録

酸素運搬能は心拍出量,酸素飽和度,ヘモグロビン値,動脈血酸素分圧の4因子で規定される.しかし,これらを連続的かつ正確にモニターできる機器の開発・普及は途上にあり,急激な経過をとり得る産科危機的出血の病態評価において,汎診療科的に使える段階にはない.産科危機的出血への対応指針ではショックインデックス(SI)が病態評価基準である.特にSI 1.0,1.5は臨床判断上の分水嶺である.妊産婦では通常,心機能・呼吸機能が大きくは障害されていないために,酸素運搬能維持のために最も重要となるのはヘモグロビン値の維持である.そのためには迅速な輸血の供給体制構築と安全・確実な輸血の投与が必要である.

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© 2018 日本臨床麻酔学会
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