2019 年 39 巻 2 号 p. 193-198
腹部手術の術後鎮痛が硬膜外麻酔から末梢神経ブロックに移行しつつある.低侵襲手術の普及や抗凝固療法の拡大がその引き金となっている.超音波ガイド下末梢神経ブロックの初期から腹直筋鞘ブロックと腹横筋膜面(TAP)ブロックが腹部の麻酔のために使用され始めた.その後,より広範囲の効果を得るために肋骨弓下TAPブロックが発表され,この数年は腰方形筋ブロック(QLB)が注目されている.今回はこれらのブロックの理解に必要な腹部の神経解剖と,神経ブロックを行う際に注意すべき点を紹介する.