2019 年 39 巻 4 号 p. 439-445
新東京病院では経大腿動脈アプローチのTAVIは原則全例局所麻酔プラス鎮静(MAC)で施行しており,MAC症例は200例を超えた.しかしその中でもあえて最初から全身麻酔を選択した症例,術中にMACから全身麻酔に切り替えた症例,あるいはMACの選択が正しかったか疑問が残る症例もある.鎮静法はほぼ一律デクスメデトミジン中心で,必要に応じてケタミンを追加する.MACで施行すると循環動態は安定するが,気道確保をしていない状態で比較的深く鎮静するため,呼吸の厳密なモニタリングが必須であり,深刻な二酸化炭素貯留が起きることもある.MACでは術中経食道心エコーを使用できず経胸壁心エコーでの評価となるが,その場合,合併症の発見・大動脈の描出が課題となる.