日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
ダビガトランの中和をイダルシズマブで行った腹部大動脈瘤破裂の1例
金山 麻希川上 正晃佐々木 利佳村花 準一山崎 光章
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2020 年 40 巻 1 号 p. 17-22

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抄録

症例は75歳の男性で,突然の背部痛を主訴に救急搬送された.腹部大動脈瘤破裂と診断され,緊急でY型人工血管置換術が予定された.ダビガトラン内服中であったためPT-INR,APTTが延長し,執刀前の活性化全血凝固時間(activated clotting time:ACT)も326秒と延長していた.執刀前にイダルシズマブを投与してダビガトランの緊急中和を行った結果,ACTは109秒と著明な改善を認め,術中も良好な止血が得られた.術後も血栓を原因とする合併症は認めなかった.ダビガトラン内服患者の緊急手術においてイダルシズマブの投与は凝固機能の正常化に有効であると考えられる.

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© 2020 日本臨床麻酔学会
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