2020 年 40 巻 3 号 p. 239-245
近年アルブミンとその重症患者に対する投与に関する研究が多く発表され,異なった病態における治療での臨床使用に重要な知見がもたらされた.外傷,手術などによる血管内容量減少や敗血症患者へのアルブミン投与は,晶質液投与と比べた場合,死亡率を改善する効果はない.外傷性脳損傷患者では予後の悪化が指摘されているため輸液蘇生に有効とはいえない.人工心肺を使用した開心術における人工心肺充塡液へのアルブミン投与の有用性は示されていない.周術期の循環動態の安定した低アルブミン血症に対するアルブミン投与は推奨できない.実臨床においては,アルブミンの使用は医療従事者の総合的な判断のもとで行われる必要がある.