2021 年 41 巻 2 号 p. 174-179
スガマデクスは世界に先駆け,2010年本邦で使用可能になった.本邦における実際の効果,使用感,副作用などが,海外への貴重な情報発信へと繋がったことは非常に喜ばしい限りである.しかし国内での再クラーレ化の報告が2018年1月時点で36例に達し,その後も報告例は増加しているという.周知の通り,スガマデクスの投与量は筋弛緩深度によって決まる.この筋弛緩深度をどのように評価するかが,シンプルかつ重要なポイントである.呼吸や体動の有無で,正確に筋弛緩深度を計れるわけではない.患者安全,さらに麻酔科医の健全な業務を維持するために,筋弛緩モニタリングのさらなる普及と再クラーレの根絶を願うばかりである.