2021 年 41 巻 2 号 p. 188-193
スガマデクスはアミドステロイド型筋弛緩薬の拮抗薬である.日本では2010年の販売開始以降,確実な拮抗作用により麻酔科医の信任を得て,短期間で利用が拡大した.その一方で,スガマデクスが原因となるアナフィラキシーの報告が散見されるようになった.われわれの最近の調査では,スガマデクスによるアナフィラキシーの発生頻度は,約5,000症例に1例と推計された.アナフィラキシーに伴って出現する症状は,他の薬剤が原因のものと違いは見られない.しかし,抜管後に気管支痙攣などの症状を認める場合があり,注意が必要である.アナフィラキシー発生のメカニズムについては不明な点が多く,今後の研究の進展が期待される.