医療,産業活動,航空機運行といった社会的に有用かつ不可欠な活動に伴い,不幸にして人が負傷,死亡する結果が生じることは避けられない.それぞれの分野で人命尊重の観点から,長年にわたって適切な事故調査,再発防止策等を講じるための努力が積み重ねられている.講師の経験から,航空機事故については,再発防止が最重点であるため,正確な証言を得るための刑事免責,民事免責が講じられていること,労災事故については,公的制度により必要な補償を行う制度が確立されるとともに,再発防止のための研究,教育,事故調査等が労働安全衛生行政として行われていることを紹介する.