2023 年 43 巻 4 号 p. 283-289
2019年に日本麻酔科学会から筋弛緩薬使用時の筋弛緩モニター使用の指針が示された.千葉大学医学部附属病院では以前から筋弛緩モニター装着率上昇に取り組んでいたが,この取り組みが適切な筋弛緩管理につながるかは不明であった.そこで当院で28カ月間から抽出した筋弛緩薬使用予定手術患者267名を対象に後ろ向き観察研究を行った.モニター装着率(56から94%),筋弛緩管理適正率(38から64%)は大きく改善した一方で,拮抗薬の投与量不足や筋弛緩モニター不使用での投与量決定という不適切な管理が約1/3の症例で行われていた.この結果は筋弛緩モニタリングのみでは適切な筋弛緩管理を完全には担保できないことを示唆している.