2023 年 43 巻 4 号 p. 336-341
中枢神経感染以外の敗血症に伴う脳機能不全を敗血症性脳症(sepsis-associated encephalopathy:SAE)と呼ぶ.SAEは死亡率を上昇させるだけではなく,長期にわたり認知機能障害をきたすこともあるため治療対象となる病態である.全身炎症から神経炎症をきたし,脳機能不全に至る病態生理は複雑であり,いまだ臨床的に有効な治療法は存在しない.敗血症性脳症の基礎研究には課題も多いが,本稿ではこれまで基礎研究によって明らかにされてきたSAEの病態生理と治療可能性について概説する.