日本臨床麻酔学会誌
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イオントフォレーシス麻酔の効果持続時間の検討
麻酔薬の種類,濃度,量別の温痛触覚テスト
瀧 健治佐々木 純松谷 裕之斎藤 和好三上 光治工藤 敦子
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1990 年 10 巻 1 号 p. 56-61

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抄録

直径20mmの陽電極を用いて1.5mAで9分間のイオントフォレーシス麻酔を施行し,その後の麻酔持続時間について検討してみた.イオントフォレーシス麻酔で1%プロカイン,1%リドカイン,0.3%ジブカイン,1%メピバカインの4種類の局所麻酔薬ではほぼ同じ麻酔持続時間を呈したが,局所麻酔薬の深達度からイオントフォレーシスによる局所麻酔法にはジブカイン以外のプロカイン,リドカイン,メピバカインが使用薬剤として適当であることがわかった.また,リドカインの麻酔持続時間は濃度や添加量依存性であり,リドカイン濃度が40倍になると麻酔持続時間は約6倍となり,添加量を4倍にすると麻酔持続時間は約5割増しとなることがわかった.しかし,深達度は4%のリドカイン濃度で最も深く,深達度では4%が限界とみられた.これらの性質は,イオントフォレーシスでの薬剤運搬量が電流量に比例するために見られたイオントフォレーシス麻酔の特性と限界と思われる.

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