日本臨床麻酔学会誌
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電撃傷により見かけ上の血小板増多,進行性代謝性アシドーシスを伴った両下肢,左肩関節切断術の麻酔経験
依光 たみ枝又吉 裕子嘉手川 康人仲谷 憲国吉 茂安里 文雄知念 清
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1991 年 11 巻 3 号 p. 340-344

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抄録

電撃傷による緊急両下肢,左肩関節切断術の麻酔を経験した.術前よりショックARDS,溶血性貧血,DIC,急性腎不全の状態であった.自動血球分析器による血小板数105万/mm3,血液塗沫標本では逆に3万/mm3と血小板減少が認められた.この現象は,熱で溶血した赤血球破片を,自動血球測定器が血小板と誤って測定したことによる見かけ上の血小板増多であることが判明した.その他筋壊死に由来する,補正困難な進行性代謝アシドーシスに対して,術前より壊死に陥った患肢の駆血は容易に施行でき,かつ有効な治療法であった.電撃傷による重篤な血球破壊,骨格筋壊死の症例では,血液塗沫標本による正確な血小板測定,壊死患肢駆血は,麻酔管理上特に重要と思われた.

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