日本臨床麻酔学会誌
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多量出血症例における術中輸血の検討
中江 裕里渡辺 廣昭川名 信宮部 雅幸川真田 樹人並木 昭義
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1992 年 12 巻 1 号 p. 124-129

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抄録
今回われわれは,1990年1年間に当院手術部において,2,000ml以上5,000ml未満の出血を認めた症例の術中輸血について検討した.輸血の開始時期は,出血量が約400mlに達した時点であり,Hb,Ht値を考慮しても開始が幾分早かったと思われた.膠質液が輸血開始後に投与されている症例が約30%にみられたが,膠質液は輸血に先立って投与されるべきであった.保存全血および新鮮全血が総輸血量の4分の1を占めていたが,保存赤血球濃厚液は血漿成分の少ない全成分量血と考えられるため,保存赤血球濃厚液を使用すべきと思われた.新鮮凍結血漿は,出血量が1,200mlに達した時点で開始されていたが,血液凝固能保持のためには,出血量が2,000ml以上の場合で十分であつたと思われた.
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