抄録
家兎の急性脱血性ショックモデルを用いて,各脱血量ごとにカテコラミンと各種パラメーターを比較検討した.脱血操作に対しては血中エピネフリンが最も早く反応し,15ml/kg脱血では100倍以上に上昇した.ノルエピネフリンは15~20ml/kgの脱血で一旦低下し,その後急上昇する2相性の変化を示した.20ml/kg以上の脱血では乳酸,血糖をはじめ,Na,K,浸透圧,pHの大きな変化がみられ細胞障害が疑われた.輸液なしの35ml/kg以上の脱血は致死的であり,パラメーターのほとんどに有意な変化が認められた.ノルエピネフリンの動態からは比較的早期に交感神経系の抑制が起こり得る可能性があることが示唆された.