キシロカインゼリー®によるアナフィラキシーショックを経験した.症例は51歳男性,中咽頭腫瘍術後,下顎骨骨折のため観血的整復術を予定した.既往に麻酔薬によるアナフィラキシーショックがあった.挿管困難が予測され,経鼻挿管のため鼻腔内にキシロカインゼリー®を注入し,経鼻用エアウェイを挿入したところショック状態となった.気管内挿管を試みたが心室細動となり,ただちに輸状甲状間膜切開を行ない,直流除細動により心拍再開し,なんら後遺症なく回復した.皮内テストではメチルパラベンが疑陽性,カルボキシメチルセルロースナトリウムが陽性であり,アレルギー反応の原因として添加物を考慮する必要性を痛感した.