日本臨床麻酔学会誌
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結節性硬化症の麻酔中脳波モニター使用経験
金谷 憲明藤田 智松本 真希並木 昭義
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1993 年 13 巻 3 号 p. 331-335

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抄録

脂腺腫・癲癇・精神発達遅延・発生性上室性頻脈を有する結節性硬化症の麻酔を経験した.患者は5歳男児で抗痙攣薬の投与によっても数回/日の痙攣発作を認めていた.麻酔は酸素-笑気-イソフルレンによる全身麻酔を行ない,同時にLife Scan (Neurometrics社製)を用い術中脳波モニタリングを行なった.脳波モニター上,麻酔導入・手術中・覚醒時において脳波異常を認めず,手術は無事終了した.結節性硬化症は,多発性の腺腫を有する疾患であり,本症例に認められた皮膚・脳・心臓以外に肺・腎・骨・内分泌腺などに発生することがあり,術前の十分な検索が麻酔管理上必要である.さらに,中枢神経系異常を起こしうる患者の術中管理に連続測定可能な簡便な脳波モニターは有用であると思われた.

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