1994 年 14 巻 1 号 p. 1-6
乳房切断術を施行された女性50例を対象として,トリメタファンによる低血圧麻酔の麻酔方法の違いによる動脈血血液ガスへの影響について検討した。症例は使用した麻酔薬の種類によって,ハロセンと笑気を使用した群(10例),エンフルランと笑気を使用した群(10例),イソフルランと笑気を使用した群(10例),セボフルランと笑気を使用した群(10例),ケタミン持続静注と笑気を使用した群(10例)の5群に分けた。すべての群において低血圧中に有意なPaO2の低下がみられ,このPaO2低下の程度に群間差を認めなかった。以上より,低血圧麻酔中には麻酔方法に関係なく,肺における血液酸素化が障害されるおそれがあるので,適切なモニターによる監視と処置とが必要である。