日本臨床麻酔学会誌
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ミダゾラムによる鎮静が脊麻レベル判定に及ぼす影響
本間 康之金谷 憲明岩崎 寛大森 英哉関 純彦並木 昭義
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1994 年 14 巻 10 号 p. 750-754

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抄録

脊椎麻酔時の麻酔域判定にミダゾラムが及ぼす影響を調べた.脊椎麻酔下に手術を予定された患者40名を対象とし,脊椎麻酔施行後に術中鎮静を目的としてミダゾラム0.05mg/kgを静注した.手術終了後の麻酔レベルを,(1)ミダゾラムによる鎮静下,(2)フルマゼニル0.2mg(F群,n=20)または生理食塩水1ml(C群,n=20)静注4分後の2回,cold-sensation法,pinprick法を用い判定した.また,F群では静脈血中ミダゾラム濃度も測定した.F群ではフルマゼニル投与後で,10/20名(50%)が1分節以上の冷覚消失域の変化を認め,7/20名(35%)で1分節以上の痛覚消失域の変化を認めた.C群では1/20名(5%),2/20名(10%)でそれぞれ1分節以上の冷覚,痛覚消失域の変化を認めた.F群で平均血清ミダゾラム濃度は50.8±42.6ng/mlであったが,麻酔域の変化とミダゾラム血中濃度とは特に関連はみられなかった.脊椎麻酔中のミダゾラム投与により,術後の麻酔域判定があいまいになる可能性がある.

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