抄録
頭痛等を主訴とする患者で視床下部性無月経症を合併した症例に対し,星状神経節ブロックが月経再開をもたらすのに有効であった。ブロック後の血流および温度の変化が視床下部になんらかの作用を及ぼし,内分泌系のアンバランスを是正したために起こった効果であると考えられる。しかしながら,ブロックが頭痛,肩こり等を起こしているなんらかの背景因子を除去し,全身状態が良好となったために月経周期が規則的になった可能性も考えられる。ブロックにより頭痛等の治療目的のほかに,視床下部性無月経が改善し,月経が再開するとすればその相加効果は大きいと思われる。特に,妊娠を希望していない無排卵性無月経症に対してのブロック療法はホルモン投与療法と異なり,その効果に持続性,永続性があるという点で優れている可能性がある。