腹腔鏡操作中に発症した気胸2例を経験した.症例1は25歳女性で子宮内膜症疑いにて全身麻酔下に腹腔鏡検査中,気腹開始直後からSpO2の低下,右呼吸音減弱が出現した.右胸腔ドレナージを行なったが術後空気漏出はなく,胸部CTでも肺野に異常はなかった.症例2は70歳男性で,胆石症にて全身麻酔下に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行中,炭酸ガスによる気腹開始約45分後に突然のSpO2の低下,左呼吸音減弱,皮下気腫が出現した.左胸腔ドレナージを施行したが,胸腔ドレーンバツグの水封室内の水のPCO2が722mmHgであり,胸腔と腹腔の交通が証明された.両症例とも医原性の横隔膜損傷はなく,横隔膜の欠損部や脆弱部の存在が強く示唆された.