1995 年 15 巻 4 号 p. 351-354
透析症例は抗凝固薬使用などから硬膜下血腫を合併しやすい。今回,出血傾向のある長期透析患者の両側性硬膜下血腫に対する緊急開頭下血腫除去術の麻酔管理を経験した。出血傾向は,術前透析および輸血・凍結血漿で改善した。麻酔は笑気・酸素・イソフルランにベクロニウムを併用した。術中は,中心静脈圧・観血的動脈圧を指標とし,持続血液濾過併用で,容量のコントロールを図った。術前透析時のグリセロール投与と除水,および術中はステロイド投与で,脳腫脹制御は容易であった。出血傾向は,術前透析時の凍結血漿・輸血および血小板輸血で制御が可能であった。