日本臨床麻酔学会誌
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茎状突起症候群が疑われた難治性顔面痛の一例
坂口 嘉郎児玉 謙次漢那 悦子岡本 浩嗣冨永 昌宗高橋 成輔
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1996 年 16 巻 3 号 p. 275-278

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抄録

顔面痛はいろいろなメカニズムによって生じる.難治性の顔面痛を訴えた22歳の女性に,左茎状突起の過長と骨折を認め,茎状突起症候群が疑われた症例を経験した.この症例に対して,デキサメタゾン2mgと2%メピバカイン1mlを茎状突起周辺に注入したところ,薬物療法に抵抗する顔面痛が軽減した.
茎状突起症候群の治療は,その原因となる茎状突起を切除する方法が最も効果的と考えられている.しかし,本症候群の確定診断はむずかしく,手術侵襲や合併症,後遺症の可能性を考慮すると,本症例のように侵害受容性の痛みと思われる場合には,糖質コルチコイドと局所麻酔薬の局所注入法が有効と思われる.

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