日本臨床麻酔学会誌
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長時間閉鎖循環式麻酔の検討
岡田 一敏浅野 直子木村 丘岡田 弘西尾 四郎涌澤 玲児
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1997 年 17 巻 1 号 p. 23-28

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抄録
回路内気化器を設置した通常の麻酔器を用いて10名の成人にセボフルランと酸素を使用し,6時間以上の閉鎖循環式麻酔を行なった.麻酔ガスモニターは呼吸回路内に空気が侵入しないように工夫し,セボフルランの気化器を0.5%に設定して麻酔を開始した.吸気セボフルラン濃度は14±3分で2%に達した.その直後に気化器を0.2%に,そしてその12±8分後に0.1%に設定して吸気濃度を2%に維持した.麻酔経過は円滑でSpO2はつねに97%以上を維持し,compound Aは検出されたが許容できる濃度であった.
閉鎖循環式回路による吸入麻酔開始直後の吸気酸素濃度は94±2%であったが,1時間後には85±4%,3時間後には83±3%に減少した.この原因は体内の溶存窒素の呼吸回路内への拡散によるものと考えられた.閉鎖循環式麻酔ではMACが43%以下の麻酔薬が必要であると考えられた.
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