日本臨床麻酔学会誌
Online ISSN : 1349-9149
Print ISSN : 0285-4945
ISSN-L : 0285-4945
開胸術におけるβ2-microglobulin排泄率の変動と急性相反応との関連性
園田 清次郎小川 龍
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 17 巻 1 号 p. 19-22

詳細
抄録
手術後の腎尿細管障害の指標としてβ2-microglobulin(BMG)の尿中排泄を用いることが少なくないが,これには尿細管機能以外の因子が影響しているとの見方もある.ここでは,術後早期の急性相反応はBMGの尿中排泄に影響するかどうかを調べた.開胸手術予定患者18例を対象に,BMGの尿中排泄率(FE-BMG)と急性相反応物質であるC-reactive protein(CRP)の血漿濃度を測定し,術後早期におけるFE-BMG上昇と急性相反応との関連を検討した.FE-BMGは手術終了2時間後に最も上昇し,翌朝も依然と上昇していたが,その値は有意に低下した.一方CRPは手術終了2時間値の上昇は軽度で翌朝に著しく上昇した.FE-BMGとCRPは同様の変動を示さないことから,術後早期のFE-BMGの上昇と急性相反応との関連性は否定的であった.
著者関連情報
© 日本臨床麻酔学会
前の記事 次の記事
feedback
Top