1998 年 18 巻 1 号 p. 67-70
糖尿病を合併する患者に局所麻酔下に硝子体手術が予定された.球後麻酔および瞬目麻酔を施行したところ胸部不快感,徐脈,低血圧をきたした.経皮,および経静脈的心室ペーシングを行ないICUに入室した.入室後,急性心筋梗塞を疑いPTCA (percutaneous transluminal coronary angiography)を施行した.その後,カテコラミンとIABP (intra aortic baloon pumping)の補助により軽快退室した.局所麻酔で行なう眼科領域の手術は,全身麻酔と比べて術前検査や術中の管理が簡略化されていることが多くみられるが,糖尿病を合併する患者では全身性の血管病変を伴うため,麻酔には十分な注意が必要である.