1998 年 18 巻 6 号 p. 586-591
腹腔鏡下胆嚢摘出術の肝機能に及ぼす影響をアルコール脱水素酵素とグルタチオンS転移酵素αの血清活性と門脈血流量の変化から検討した.術中の血圧を吸入麻酔薬のみで術前の安静時血圧に近い値に維持した群と,吸入麻酔薬にジルチアゼムを併用し術前の安静時平均血圧の80%前後に低下させた群で比較した.両酵素活性は2群とも術前値と比較し術中有意に増加し,術後には術前値と有意差はなくなった.門脈血流量は気腹解除直前にそれぞれ術前値の30.3±9.4%, 37.9±9.5%と有意(p<0.05)に減少し,脱気後,2群ともほぼ術前値に回復した.門脈血流量の術前値を除くどの時点においても,2群間に有意差はみられなかった.