帝王切開術後の鎮痛目的で術中に投与した硬膜外モルヒネが,産褥早期乳汁分泌量,児の体重増加に及ぼす影響を調べるために,術中硬膜外モルヒネを投与されたモルヒネ投与群(平均投与量2.5mg±0.5mg, n=14),術中ならびに術後もモルヒネを投与されなかった非投与群(n=11),無麻酔下経膣分娩群(NSD群,n=11)の3群間でレトロスペクティブに比較検討した.対象は一定期間に児を出生し,児が日齢0より経口摂取できた症例とした.
日齢2の乳汁分泌量は帝王切開術を施行されたモルヒネ投与群,非投与群がNSD群より低かったが,モルヒネ投与群と非投与群に差は認められなかった.日齢1, 3, 4の乳汁分泌量と日齢1~4の児の体重増加率は3群間に有意差はなかった.帝王切開術が施行された二つの患者群では,術後鎮痛補助薬を使用した患者の割合はモルヒネ投与群のほうが非投与群より有意に低かった.帝王切開術中に硬膜外モルヒネ投与をすると,術後鎮;痛は得られるものの,帝王切開による産褥早期の乳汁分泌の低下は非投与群と同様に防止されなかった.
抄録全体を表示