2000 年 20 巻 7 号 p. 422-429
左心-動脈カップリング(Ees/Ea)は,負荷非依存性の左心室収縮能力(Ees)と動脈の後負荷(Ea)との比率であり,心ポンプ機能を表わす優れた指標である.私たちは,心収縮期時間と動脈圧を用いてEes/Eaを容易に1心拍ごとに算定する方法を開発してきた.今回はこの方法の臨床応用として,食道聴診器に取り付けたコンデンサマイクから取り込んだ心音と,心電図,橈骨動脈圧を同時にコンピュータに取り込み,これらを用いて実際にEes/Eaを算定する装置を試作し,手術中のEes/Ea推移を自動モニタリングしてその有用性を検討した.術中のEes/Eaモニタリングは,血管作動薬,強心薬,出血等による循環動態の変化をよく反映した.