日本臨床麻酔学会誌
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小児の重症筋無力症の麻酔経験
佐藤 恵理荻野 祐一関 慎二郎吉川 大輔守田 敏洋後藤 文夫
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2000 年 20 巻 7 号 p. 472-475

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抄録

まれな疾患である小児の重症筋無力症(MG)に対する胸腺摘出術の麻酔管理を経験した.患者は10歳の女児で,1歳3ヵ月で眼瞼下垂が出現し,その後は軽快・再燃を繰り返していた.3ヵ月前より嚥下困難が出現し,抗コリンエステラーゼ薬によるコントロール不良のため胸腺摘出術が予定された.チオペンタールの投与のみでTOFR(train-of-four ratio)の漸減がみられ,イソフルラン2.3%の吸入でT1も低下した.15分間マスク換気し,T165%, TOFR72%に低下したところで,気管挿管した.麻酔は亜酸化窒素,酸素,イソフルランにフェンタニルを適宜加えて維持し,筋弛緩薬は使用しなかった.吸入麻酔停止後,すみやかに自発呼吸が出現した.コントロール不良のMGであったが,筋弛緩薬の使用を避けることにより,安定した周術期管理を行なうことができた.

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