抄録
肺動脈カテーテルにより肺動脈損傷をきたした3症例を経験した.3例とも,体格が小柄で肺動脈カテーテルが過挿入になっていたことに加え,60歳以上の女性で肺高血圧症を合併していたことなどが,肺動脈損傷を起こしやすくした要因と考えられた.肺動脈カテーテル使用時には常に肺動脈損傷の可能性を念頭におき,出血が起きた場合には適切な診断と処置が必要である.止血できた場合でも,肺動脈仮性動脈瘤形成の可能性があり,仮性動脈瘤が破裂すると致命的になりうることから,CTや肺動脈造影などで診断することが大切である.